デイリーコメントーリスク選好度改善から米ドル恩恵受けられず

投稿日: 2025年5月5日18時27分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・主要市場が祝日で休場のため、今週は静かなスタート
・9セッション連続上昇のS&P500の動向に注目
・豪総選挙は労働党勝利で豪ドルは米ドルに対して上昇
・ゴールドの下落は一段落もOPECプラスに関する報道で原油価格は下落

主要なアジア市場休場で市場は静かなスタート

主なアジアの主要指数である中国と日本は、本日祝日のため閉場で、今週はかなり安定したスタートとなっています。イギリスも本日は祝日のため、本日のヨーロッパのセッション時間も流動性の低さは継続しそうです。

それでも、市場は本日、S&P500と伝統的なNYダウが10セッション連続上昇の記録を達成するかに注目しています。これらの株式指数の好調なパフォーマンスにもかかわらず、両指数ともに最近の調整から完全に回復しておらず、最高値から約8%下回る水準となっています。

水曜日はFOMC会合決定も関税を巡る発言が脚光となるか

今週の米株式市場は、他の要因の中でも、トランプ大統領の関税を巡る発言とFOMC会合決定に左右されることになるでしょう。FRBが最終的な関税政策について明確さを引き続き求める中、今週水曜日のFOMC会合では、パウエル議長らは現在の「様子見」姿勢を維持すると見られており、金利は据え置かれると予想されています。

しかし、先週の米GDPレポートを受けて、経済成長の勢いが減速していることが明らかとなり、また特に企業調査と消費者心理に関するデータから判断すると、インフレ率は小幅上昇し続けるでしょう。先週金曜日の米雇用統計によって、今週のFOMC会合がハト派に転ずる可能性は低くなったため、市場は現在もFRBがインフレの動向が一時的なものと確信しているのかについて注目しています。

トランプ大統領がFRBに対する最近の軟化させた態度を反転せず、2026年5月前にパウエル議長を交代させると再度脅さない限り、FOMC会合でFRBがハト派的見解をしないことへの市場の失望感は関税に関する報道によって緩和されるかもしれません。

週末、トランプ大統領が中国からの輸入品への関税を「いずれは」引き下げることを示唆しました。 しかし今週、習主席との電話会談の予定はなく、合意への道は困難な過程となる可能性があります。そうは言っても、米政府関係者は最初の貿易協定を発表することに必死になって準備を進めており、5月中に発表される一連の貿易協定に向けて、トランプ大統領が次の勝利宣言をするお膳立てをしています。

豪総選挙で労働党勝利、豪ドル上昇

一方、トランプ大統領が他国の選挙に大きな影響を与えており、多くの保守党がトランプ大統領との「関わり」によって制裁を受けています。カナダでの自由党の勝利に続いて、オーストラリアの選挙でも労働党が勝利を収め、議席数を増やして過半数を獲得しました。生活費の上昇などの国内政策とは別に、主要の野党連合はトランプ政策に似た政策を進めることに苦戦しました。

この選挙結果を受けて豪ドルは上昇し、豪ドル/米ドルは現在0.6473まで上昇し、4月初旬の安値から約7%上回る水準で推移しています。そうは言っても、米ドルも先週は好調で、ユーロ、ポンド、特に日本円に対して上昇しました。

ゴールドは安定、原油価格下落

トランプ大統領が関税を巡って攻撃的な姿勢を緩和させたことから、市場は今後の見通しについて大方自信を取り戻しているようで、ゴールドは先週3,200ドルまで下落し、4月22日の日中最高値から300ドルも下落しました。しかし、ゴールドの上昇トレンドに変更はなく、ウクライナ・米国・ロシア間での交渉での大きな進展がない限り、ゴールドは依然として上昇する可能性があります。

反対に、OPECプラスが自主的減産を引き続き解除する方向に向かっていることから原油価格は再び下落となり、4月初旬の安値付近に再び向かっています。サウジアラビアは非準拠加盟国に対して、生産割当を満たすよう圧力をかけようとしているようで、この増産の背後にある本当の理由について憶測が飛び交っています。世界的な需要の伸びは引き続き低迷しており、石油供給増産計画は原油価格に強い下押し圧力となっています。