デイリーコメント – 脆弱なリスク選好度はFRBメンバーの発言と米経済指標に試されるか

投稿日: 2025年9月25日19時20分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 米株式と暗号資産が低調となり、リスクセンチメントは弱まる
• 注目がFRBメンバーの発言と米経済指標に移る中、米ドルに強い買い需要
• 本日、少なくとも7人のFRBメンバーが発言予定、タカ派的な発言が重要となる
• ゴールドは史上最高値から反落、原油は引き続き堅調に推移

米株式市場下落、米政府はさらなる企業買収を検討か

昨日、米ドルの取引は好調な一日となる中、リスク資産は圧力を受け続けました。特に、ダウ工業株30種平均が売りを牽引し、欧州取引セッション中にやや改善していたリスク選好度は、一転して後退しました。同様に、ビットコインは現在11万1000ドル付近で推移しており、アルトコインが最も大きな打撃を受けています。イーサリアムとソラナはそれぞれ週間で13%、11%の下落を記録しています。

今週はほとんどの株価指数が下落しており、投資家は火曜日のパウエル議長の発言を受け、FRBの利下げ見通しに対して不透明感を抱いている可能性があります。また、トランプ大統領の買収戦略に対しても疑問を持ち始めているかもしれません。エヌビディアとIntelとの合意を受け、トランプ政権が米国に拠点を置く、鉱山大手会社の一つの株式所得を狙っているとの強い憶測があります。この動きは、G7諸国がこの分野における中国の支配力を弱めるため、レアアース(希土類)の産出に最低価格や補助金を検討しているとの報道とも一致します。

FRBメンバーの発言に注目

昨日、サンフランシスコ連邦のデーリー総裁はタカ派とハト派な発言を織り交ぜた講演を行い、ベッセント米財務長官は米政府が更なる大幅な利下げを望む姿勢を改めて強調しました。これを受けて、注目は本日のFRBメンバーの非常に忙しい発言スケジュールに移っています。具体的には、シカゴ連銀のグールスビー総裁、NY連銀のウィリアムズ総裁、カンザスシティ連銀のシュミッド総裁、ダラス連銀のローガン総裁、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁に加え、ボウマンFRB副議長とバーFRB理事が本日発言予定です。

グールスビーシカゴ連銀総裁とボウマン副議長は再びハト派的な発言をし、連続利下げを支持すると予想されています。バー理事とデーリーサンフランシスコ連銀総裁は概ね中道派である一方、シュミッドカンザスシティ連銀総裁とローガンダラス連銀総裁はタカ派寄りと見なされています。興味深いことに、ウィリアムズNY連銀総裁はより控え目ですがハト派傾向があるとされています。これはNY連銀は公開市場操作やレポ取引を含む連邦準備制度の日常業務を担当しているためです。

市場がタカ派的なFRBメンバーの発言に敏感なため、投資家は、中道派やタカ派のFRBメンバーが10月の利下げを支持、ないしは、パウエル議長の見解に賛同するかどうかの強いヒントを模索するでしょう。パウエル議長の「株価はかなり割高に評価されている」という発言が多くの市場参加者に歓迎されなかったため、本日は株式市場に関する発言はないでしょう。

金曜日のPCE報告を前に、米経済指標も焦点に

本日は米経済指標も注目の的になります。2025年第2四半期のGDP確報値が12時30分(GMT)に発表され、特に大きなサプライズがなければ、年率で3.3%の成長を確認する見込みです。さらに重要なのは耐久財受注と週間新規失業保険申請件数です。特に新規失業保険申請件数が23万5000件を下回る水準で推移すれば、9月初旬に見られた急増が一時的なものであったことを裏付けることになるため、市場に大きな影響を与える公算があるでしょう。

本日予想される一連の米経済指標は、そのデータの質には疑問があるものの、10月の利下げ観測に疑念を生じさせる可能性があります。しかし、市場は現在、10月の利下げを92%と織り込んでいるため、この予想を覆すには数件以上の米経済指標が必要となるでしょう。FRBのタカ派にとって幸いなのは、来週発表されるISM調査、ADP雇用統計、そして非農業部門雇用者数の結果が米労働市場の弱体化懸念を和らげるうえで大きな役割を果たす可能性があることです。

ゴールドは安定、原油は続伸

ゴールドは史上最高値を更新した後に反落し、現在は3,750ドル付近で推移しています。トランプ大統領がガザ戦争の終結を目指しているという報道もありますが、同氏の過去の実績を考えると、これが成功となるかどうかは時間が経たないと分かりません。さらに、貿易交渉も引き続き注目を集めています。米中協議は長引いており、トランプ大統領は本日TikTokに関する合意に署名する予定です。一方で、韓国は米国内の工場から約300人の韓国人労働者が強制送還させられたことを受け、約3,500億ドルの投資約束を撤回することを検討しています。

一方で原油は、トランプ大統領が国連演説でロシアに関して発言したことを受けて再び活気づいており、現在は65ドル付近のレジスタンスラインを再び試しています。67.30ドルの200日単純移動平均線に向けた強気のブレイクアウトとなる可能性も視野に入っています。