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・トランプ大統領は医薬品と他の品目に対して新たな関税発表
・好調な米経済データで懸念緩和後、トランプ関税発表
・米ドルは急騰後3週間ぶりの高値を維持、米株価は3日連続下落
・ゴールドはそれほど上昇できず、原油価格は今週力強く上昇

本日のPCEレポートを前に新たな関税発表で市場にはさらに警戒感
昨日の米時間と本日前半のアジアセッションでの不安定な取引を受けて、現在の欧州セッションでは市場は安定しました。今週の焦点は、今後のFRBの金融政策の見通しへの手掛かりとして、本日の米PCEインフレレポート(個人消費支出物価指数)となりますが、昨日の予想外に堅調な米経済を示唆する経済データとトランプ大統領による医薬品への関税発表により、投資家は本筋から離れた話題にも注目することになりました。
FRBによる大幅利下げ観測の必要性について疑念が生じるような好調な米経済データが次々と発表されたことで、大多数のFOMC会合のメンバーの慎重姿勢が裏付けされています。昨日発表された第2四半期の米GDP成長率は個人消費の強い回復から、予想を大幅に上回って3.8%となりました。8月の耐久財受注も予想を上回り、最も重要なことに、失業保険申請件数では9月20日までの1週間でこれまでの急増から減少し続けていることが確認され、低迷な労働市場への懸念が後退しています。
昨日の米経済データにより、FRBが今年あと2回の0.25%の利下げを行うことが疑問視されており、利下げ観測が後退しました。また、早急な利下げへの期待は、トランプ大統領による最新の関税発表でも打ちのめされました。
トランプ大統領は、医薬品の輸入に対して100%の関税を課すと発表し、他の分野も対象リストに追加して市場を驚かせました。大型トラックの輸入には25%の関税、キッチンキャビネットと洗顔化粧台の輸入に対しては50%の関税が課せられ、また国外からの布張り家具については30%の関税が課せられます。
米利下げ観測後退で米ドル上昇
しかし、関税発表により数時間は市場の取引が不安定となったにもかかわらず、為替市場が最も大きく変動し、他の市場は比較的控えめな反応となりました。
昨日の堅調な米経済データにより、米国債利回りは小幅上昇したため、米ドルが主要通貨に対して3週間以上ぶりの高値の水準まで上昇しました。ユーロは1.17ドルを下回り、ポンドは7週間ぶりの安値である1.34ドルを下回る水準まで下落しました。
先物市場は現在、FRBが年内に合計で0.40%の利下げを行うことを織り込んでおり、今月のFOMC会合直後の合計約0.50%から利下げ幅が縮小しています。今週の一連のFRBメンバーによる講演では、米労働市場の健全性に対するそれぞれのメンバーの意見の乖離が浮き彫りとなりましたが、経済データはタカ派寄りの見解を堅調に裏付けしており、その結果、現段階では米ドルにとって好材料となっています。
しかし、今週はまだ終わっておらず、本日は重要なPCEインフレレポートと個人消費データが今後の方向性を見極めるために注目となるでしょう。最も重要なコアPCE物価指数は8月は前年比で2.9%と横ばいになると見られています。米ドルが上振れまたは下振れサプライズとなるリスクは、今のところ五分五分です。
米株価先物は珍しく下落
米株式市場は、主要3指数全て3日連続で下落となりました。S&P500とナスダックは今週約1%の下落となる模様で、最高値に向かって3週間連続で上昇していたことから、この下落は理にかなっているようです。
米経済が予想よりも堅調である限り、FRBによる年内の利下げが1回になるか2回になるかは、株式市場にとってはそれほど大きな打撃とはなりません。しかし、本日のPCE物価指数が予想以上に上昇する場合は、株式市場にとってはマイナスの反応となる可能性があります。
最新の関税発表も、米国外の企業への打撃の方が大きいと見られているため、それほどマイナスには受け止められていません。さらに、医薬品の輸入への業種別関税は、ブランドまたは特許取得済みの医薬品に限られ、米国に工場を建設する予定の生産者を除外しているため、恐れられていたよりも対象が狭められていました。
9月も終わりに近づき、リスク資産への最大のリスクは米政府機関の封鎖という予想外の原因となる可能性があります。トランプ大統領は、つなぎ予算策定を巡る超党派への合意に向けて設定されていた昨日の民主党議会指導部とのミーティングをキャンセルし、9月30日の期限まで両党間での意見は食い違ったままです。
ゴールド強気派は勢い失うも原油価格は上昇
コモディティ市場では、ドルが若干軟調となったことから、ゴールドが本日ゆっくりと上昇しています。本日のPCEレポートが軟調となり、米ドルが下落しない限り、ゴールドは上昇の勢いを取り戻すのに苦労する可能性があります。
一方、トランプ大統領がトルコを含む欧州諸国に対して、ロシア産原油の購入を停止するよう圧力をかけているため、今週の原油先物は好調な週となりました。
しかし、米政権はロシアからの輸入品に対して関税を課す様子がみられないことから、実際に原油価格を引き上げているのは、ウクライナの攻撃によるロシアの石油精製施設へのダメージであることが示唆されており、トランプ大統領の圧力が原油価格上昇の直接の原因となるのは限定的です。
WTI先物は現在66.16ドルで取引されており、今週で4%近く上昇しています。