デイリーコメントー米ドル反発、米株価最高値更新、円は明日の自民党総裁選次第

投稿日: 2025年10月3日18時32分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・投資家は政府以外のソースによる経済データに依存で米ドル反発
・本日の米雇用統計は発表なし、焦点はISM非製造業PMI調査に
・米株価はハイテク株の上昇を受けて新最高値更新
・日銀総裁が慎重姿勢で円安、明日の自民党総裁選に注目

米政府機関の閉鎖によりFRBと民間による経済データに注目

昨日の米ドルは、ほとんどの主要通貨に対して反発しましたが、米政府機関の閉鎖により、米雇用統計の発表が延期となり、トレーダーは新しい材料を模索しているためか、本日の取引は方向性を欠いています。

米政府機関の閉鎖によって、政府機関が通常の運営に戻るまで、いくつかの経済データが発表されないことになりますが、投資家はFRB地方連銀と民間による経済データにより注目して米経済の実情把握に努めているようです。したがって、市場の混乱は当初危惧されたよりも深刻ではないようです。

昨日、シカゴ連銀がレポートを発表し、9月の失業率は8月と同様の4.3%と横ばいだったと見積もりました。失業率の急増がまだ現実的となっていないことで、米ドルがいくらか回復した一因となったかもしれませんが、このレポートの詳細では米労働市場が軟化に向かっていることが示唆されました。

FF金利先物によると、FRBが当面金利政策を変更する必要があるかどうかについての投資家の予想に変化はありません。依然として、年末までに2回の0.25%の利下げが、そして来年は3回の利下げがほぼ完全に織り込まれています。

本日は米雇用統計の発表はありませんが、市場は9月のISM非製造業PMI調査に注目することになるでしょう。米製造業はGDPの約10%を占めるため、本日のレポートはGDPにおける90%を占める非製造業についての数値となり、米経済の現状について十分な証拠を示すかもしれません。サブインデックスである物価指数と雇用指数についても、インフレと労働市場を把握する手掛かりとしてより注目されることになるでしょう。

米株価は新最高値を更新も政府機関閉鎖が長引くと下落するリスクも

米株価指数では、ハイテク株上昇を要因として新最高値を更新するなど、主要3指数全てが続伸しました。前述の通り、投資家は政府公式の経済データ以外のソースによる経済データに頼っており、リスク資産への投資を維持できるような労働市場に関する経済データがあったようです。

民間企業のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社によるレポートでは、米雇用主が9月に発表した人員削減数は減少しましたが、今年のこれまでの採用計画数は2009年以来の最低水準となりました。アトランタ連銀によるGDPナウでは、第3四半期でのGDP成長率は3.8%となったこともあり、たとえ政府機関が閉鎖されも、投資家が深刻な経済へのダメージについてパニックに陥るような理由はほとんどありません。

つまり、投資家は政府機関が閉鎖するかを懸念しているのではなく、閉鎖がどれほど長引くかについて懸念を抱いていることは歴史も証明しています。そのため、共和党と民主党がお互いに合意に向かって進展しない期間が長引き、またそれによって、経済データが軟調となる場合、投資家はより慎重となり始める可能性があり、米株価が調整的な下落になるかもしれません。

トランプ大統領は既に連邦職員を解雇して、政府機関の閉鎖が継続する場合、プロジェクトも削減すると言及しており、膠着状態が長引くと深刻な結果となる可能性が示唆されています。今回の両党における二極化を考慮すると、政府機関の閉鎖が2週間以上続くことも考えられるでしょう。

明日の自民党総裁選で次期首相選出

日本では、日銀植田総裁が予想以上に慎重な姿勢を見せたため、次回の日銀金融政策決定会合での0.25%の利上げ観測への重荷となり、円が下落し、4カ月以上ぶりの週間上昇分が縮小しています。さらに、円トレーダーは、次期首相を決定する明日の自民党総裁選にも注目することになりそうです。

自民党総裁選候補者の中でも、高市氏は超ハト派で知られ、高市氏が首相に選出されると利上げ観測が後退する可能性があり、その結果さらに円安となるでしょう。現在、10月30日の時期会合にて0.25%の利上げが行わる確率は約30%となっています。