デイリーコメントー株価とゴールド下落、米ドル続伸、円反発

投稿日: 2025年10月10日18時58分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・イスラエルがガザ地区の和平案合意でゴールドは4,000ドルを下回る
・AI関連の株価ラリーは勢い失うも大きな調整のサインなし
・FRBメンバーの慎重姿勢で米ドルは2か月ぶりの高値まで上昇
・公明党との連立政権崩壊で高市自民党総裁の首相任命に影、円は反発

ドル高とガザ地区の停戦合意でゴールド下落

ゴールドは水曜日に新最高値である1オンス4,059ドルを更新後下落しており、7週間のラリーが危うくなっているようです。イスラエルとハマスが20項目から成る和平案の第1段階に合意したとの報道から、ゴールドの利益確定のきっかけとなり、ゴールドは昨日下落しました。ゴールドの利益確定は既に起こって当然と考える投資家もいるようです。

トランプ大統領からの圧力の下、イスラエルは金曜日の早朝に停戦合意に批准したため、日曜日に予定されているトランプ大統領のイスラエル訪問のお膳立てとなっています。米国による提案にはさらなる難題も抱えていることから、今後の交渉が順調に進むかどうかについて疑問の声もありますが、この停戦合意は、ガザ地区が荒廃し、イランと全面的戦争にもなり得た過去2年間の戦争において重要な転換点となりました。

ゴールドの上昇トレンドの要因は地政学リスクであったことから、ここ数日の下落は一時的な後退となる可能性が高く、ゴールドは週次では上昇を維持しています。また、シルバーが昨日初めて1オンス50ドルを突破して上昇したことからも、投資家の多くが依然としてリスクヘッジをしていることが示唆されています。

一方、石油の豊富な中東の緊張緩和によって、週初めから反発の試みが妨げられたため、原油先物は水曜日以来2%下落しています。

米株価は小幅下落

米株式市場は、主にハイテク株とAI関連株の上昇による最近の上昇傾向の勢いがなくなりつつあるとの兆候が見られる中、昨日のセッションを下落で終えました。AI株が高騰にバリュエーションされていることへの警告は、第3四半期の決算報告がゆっくりと進行する中でいくらかの警戒感となった可能性があります。

この株価下落について、ドットコムバブルと比較する向きも多数ありますが、主な懸念材料は、現在の株価上昇が企業の収益見通しではあまりなく、企業によるAIへの数十億もの巨額投資に起因しています。エヌビディア株が半導体の強い需要を享受し続けているため、AIを巡る楽観姿勢がまだ終わっていないことの最善の例かもしれません。エヌビディア株は昨日のより広範な市場トレンドに逆らって上昇して取引を終えました。

S&P500とナスダック100はともに小幅下落となりましたが、今週は上昇で終わりそうです。一方NYダウは今週赤字に向かっています。世界の株式市場は本日まちまちとなっており、特に日本では、自民党高市総裁が公明党との連立政権樹立に失敗したことで政情不安から日経225指数は1%下落しました。

高市氏が公明党との連立失敗で円が上昇

日本では、自民党と連立政権を樹立してきた公明党との間での数十年に渡る連立関係についての交渉が本日決裂しました。公明党の斉藤代表は本日、連立政権からの脱退を発表しました。

政党資金規正改革を巡っての意見の対立によって、自民党高市総裁が次期内閣総理大臣として指名されるには、他党との提携が必要となります。しかし、高市総裁が首相となるとしても、少数派政権ではそれほど長く続かないかもしれません。

高市氏が首相に指名されない可能性、または少なくても公明党以外の他党との連携を余儀なくされる可能性によって、日本の財政・金融政策が大幅に緩和される見通しが払拭されたため、本日の円は上昇しました。

また、高まっていた日本政府による為替介入のリスクによって、円の売りが減速しており、米ドルは本日153円を下回りました。

米ドルは今週堅調も高値から下落

円の反発により、米ドルの回復も一段落しています。投資家がFRBの利下げ観測に対するハト派的見通しの一部を後退せざるを得なかったため、ドル指数は少なくても7月下旬以来最高の水準となりました。

FRB内での意見の相違も明らかになっているものの、全体としては、FRBメンバーは利下げに急ぎすきないように依然として慎重な姿勢を保っています。

米政府機関の閉鎖の継続による米経済への影響は、特にFRBは閉鎖中に精査できる公式な米経済データにアクセスできないため、FRBにとってはまだそれほど大きな問題には見えないようです。