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・米地方銀行への信用不安で世界的に株価下落
・日本円とスイスフラン上昇、米ドル続落
・ゴールドとシルバーは新最高値更新、原油価格下落
・市場のFRB利下げ観測高まり、米国債利回りが低下

米地方銀行への懸念で市場はリスク回避反応
米地方銀行セクターが自動車関連2社による不良債権を開示したことから、問題の兆しが見られたため、米株式市場は本日赤字に転換しました。経営破綻となった2社に融資をしていたザイオンズ銀行とウェスタン・アライアンス銀行は、今のところ破綻リスクはかなり低いと見られているものの、両銀行の株価は昨日10%以上も下落しました。
しかしながら、融資基準に対する懸念によって、FRBが銀行セクターに緊急資金の提供を呼び掛ける結果となった2023年3月の銀行危機が呼び起こされました。経営破綻となった自動車ローン会社と自動車部品メーカーが詐欺行為の被害により破産を申請したことは数日後に明らかとなり、JPモーガンのダイモン会長がこのような「ゴキブリのような害虫」は他にもいる可能性を警告したことから、市場が若干過剰気味に反応したのかもしれません。
しかし、2023年の銀行危機と大きく異なる点は、2023年の時点では、FRBが利上げサイクルであったことに対して、今回は借入コストが引き下げられていることです。かといって、たとえこの破綻の連鎖が抑制されるとしても、市場のパニックが悪化する危険がないとはいえません。
現時点では、投資家は複数の不確実性に直面しています。特に、米政府機関の閉鎖と米中間の貿易関係悪化は、市場にとって大きな懸念材料です。また、このような背景で株式市場が新最高値を更新して上昇している中では、簡単に大きな調整にもなり得ます。
米国債利回り下落で米ドルに圧力
今後危機となるのではとの懸念はFF金利先物にも反映されています。投資家は、今月下旬のFOMC会合にて0.50%の大幅利下げの可能性とともに、12月と1月の会合でもさらに利下げとなる可能性も視野に入れ始めています。
安全資産への逃避とともに、FRBによる大幅利下げ観測によって、米国債利回りと世界中のソブリン債利回りが低下しています。米2年債利回りは、2022年9月に更新した低水準まで低下し、10年債利回りも2025年4月の「解放記念日」後の低水準まで下落しました。
米ドルは、9月の安値から反発したものの現在は脅威に晒されており、今週下落に向かっているのも当然と言えます。
日本円とスイスフラン上昇
一方、ドル安と米銀行への懸念は、日本で政情不安が続く中、低迷していた日本円にとって好材料となり上昇しています。他の安全資産であるスイスフランもまた本日は需要があります。
日本の国会では、10月21日に自民党高市新総裁が首相に任命されるかどうかの投票が行われる予定です。自民党は少数党である日本維新の会との連立について2度目の会談を行う予定です。この交渉が成立しない場合、野党である立憲民主党が他の首相候補者を指名しようと試みる可能性があります。
この政局膠着状態に終わりがないまま、日銀が今月後半に利上げに踏み切るかどうかは未定です。日銀植田総裁は今月の利上げについて否定していないため、本日の円がさらに押し上げられています。
米政府機関の閉鎖の中、焦点は決算報告に
米株式市場では、Eミニ先物は今日の米主要株価指数がさらに下落すると示唆していますが、この下落幅は大きなパニックを引き起こすと言うよりは、健全な調整を示唆しています。もし、米株式市場が本日反発できるようであれば、今週は上昇で終わる可能性もあります。
今週の米大手銀行による好調な決算報告によって、米経済は引き続き堅調であることが示唆されており、AIセクター間の一連の業務提携でもハイテク株が上昇しています。米国外の半導体メーカーであるASMLとTSMCの決算報告によって、AI半導体の需要軟化への懸念も緩和しており、来週からの米ハイテク大手による前向きな収益報告が期待されます。
マイナス面としては、昨日米上院での10度目の投票は法案通過とならず、米政府機関の閉鎖が来週も継続することが確定したことでしょう。共和党は医療費負担適正化法の延長について投票を行うことを提案していますが、民主党は共和党の資金法案を妥協して受け入れる前に、この投票が行われるとの保証を要求しています。
一方、FRBのベージュブックは、労働市場での解雇数が急増し、個人消費が低迷する可能性について警告しているため、公式な雇用統計がない場合、FRBメンバーがさらなる利下げを支持する可能性もあります。
地政学リスク緩和で原油価格下落もゴールドとシルバーは急騰
コモディティ市場では、リスクオフムードによって、ゴールドとシルバーが上昇して新最高値を更新しています。ゴールドは1オンス4,200ドルを突破した翌日である昨日、1オンス4,300ドルを突破しました。シルバーも1オンス54ドルと急騰しています。
プーチン大統領がウクライナとの直接交渉を開始して、紛争が終結するかもしれないとの兆候もゴールドとシルバーにはそれほど影響していません。昨日の電話会談後、プーチン大統領とトランプ大統領はハンガリーでの会談が「できればすぐに」行われることに合意しました。
プーチン大統領の心境の変化は、ロシア産石油購入の停止を米国が他国に対して新たに圧力をかけたためかもしれません。インドは今週、ロシア産石油を購入しないことに合意しました。しかし、ゼレンスキー大統領が本日トランプ大統領と会談する際に、米国がウクライナによる長距離ミサイルのトマホークをロシアに対して使用を許可する可能性があることが、さらに大きな要因であるかもしれません。
しかし、原油先物の上昇は一時的で終わり、リスク回避のムードが原油価格の重荷となり、WTI先物は5月の低水準に向かって下落しています。