デイリーコメント – パウエルFRB議長「12月の利下げは確定ではない」と発言

投稿日: 2025年10月30日21時15分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 昨日、FRBが利下げ決定、パウエル議長は12月の追加利下げ観測を抑制
• 日銀は金利据え置き決定で円安、経済見通し懸念を強調
• 市場ではECBは目標達成との見方が強く、依然として金利据え置き予想
• 米中首脳会談での合意を受け、米株価は史上最高値を更新も、米先物は横ばい

パウエル議長が利下げ観測を抑制し、米ドル高

米ドルは昨日、FOMC会合での決定が主な要因となり、主要通貨の中で最も堅調な動きを見せました。本日は米ドルは安定、あるいは一部の通貨に対してはやや反落したものの、円に対しては続伸しています。これは日銀が金利据え置きの決定をしたことから、円が下落圧力を受けていることが起因しています。

FRBは大方の予想通り0.25%の利下げを実施しましたが、2名の政策当局者がこの決定に反対しました。ミラン理事は再び0.5%の利下げを主張した一方、カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁はインフレの粘着性を理由に金利据え置きを主張しました。FRBは、米政府機関の一部閉鎖による経済データ不足を強調するとともに、金融市場での流動性逼迫を受けて、量的引き締めと呼ばれるバランスシート縮小を終了する決定を下しました。

決定発表直後の市場の反応は限定的で、米ドルは約20pipsの狭いレンジで上下し、米株価も上昇分を維持していました。しかし、その後の記者会見でパウエルFRB議長が「12月会合での追加利下げは確実ではない。それどころか、金融政策は既定路線に沿っているわけではない」と発言したことで、米ドル買いが強まり、米債利回りも上昇しました。

現在、12月の利下げ確率はおよそ70%となっており、市場では2026年の追加利下げ幅をわずか0.60%と見込んでいます。こうした中で、今後発表される米経済指標が引き続き「インフレの粘着性」や「経済の底堅さ」を示すようであれば、投資家の間で積極的な利下げは不要との見方が強まり、米ドルの上昇がさらに続くかもしれません。

カナダドルは加中銀の発表を受け堅調、ポンドは最も下落

FRBの利下げ決定前、カナダ銀行は予想通り0.25%の利下げを決定し、経済やインフレの見通しに大きな変化がない限り、今回の利下げが緩和サイクルの終了となる可能性を示唆しました。このタカ派的とも言える決定を受けて、カナダドルは上昇し、FRBの決定を受けた米ドル買いの流れの中、最も影響を受けなかった通貨となりました。

一方、ポンドは最も下落した通貨となりました。先週発表されたインフレ率が予想を下回ったことや、今月初旬の雇用統計では賃金の伸びが2022年以来最も鈍化し、失業率も上昇したことが明らかになったことが、ポンドの下落に拍車をかけています。これを受けて、市場ではイングランド銀行が次回会合で0.25%の利下げを実施する確率を30%程度と織り込んでいます。

日銀が経済懸念を改めて表明、ECBの会合決定が控える

本日は、日銀が大方の予想通り、政策金利を据え置いたことを受け、円は最も大きく下落した通貨となっています。日銀の政策当局者らは、日本の経済状況が予想通りに推移すれば、引き続き利上げを実施する方針を堅持することを改めて表明しました。また、今会計年度の経済成長見通しを上方修正するとともに、2026年度のインフレ予想も引き上げました。

しかし政策当局者は、トランプ大統領の関税政策をめぐる不透明感など、日本経済の回復を阻害するリスクを注視しており、これが投資家が利上げ観測を強めることを許さなかったようです。日本のオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場によると、12月の利上げ確率はわずか26%で、0.25%利上げが完全に織り込まれるのは2026年4月以降となっています。

次の中央銀行に対する注目は、本日のECB会合に集まりますが、ECBは金利据え置きの見通しが依然として有力です。現状は今後の利下げは織り込まれておらず、多くの投資家はECBによる利下げは完了したと考えています。しかし、ラガルドECB総裁含む政策当局者がこの見方に同意するのか、それとも必要に応じて追加利下げの可能性を残すのかは、まだわりません。

米株価は史上最高値を更新、米中首脳会談での合意後、米先物は横ばい

米株式市場では、FRBの利下げ発表を前に主要3指数すべてが史上最高値を更新しましたが、パウエル議長が「12月の利下げは確定ではない」との見解を示したことで、反落しました。それでも、ハイテク比率の高いナスダックはプラス圏で取引を終えました。

エヌビディアは、フアンCEOが米国エネルギー省向けに7台の新しいスーパーコンピューターを構築する計画を発表したことを受けて、同社の株価は一時5%急騰しました。最終的には3%高で取引を終え、時価総額5兆ドルの大台を突破した世界初の企業となりました。

市場閉場後、マイクロソフトとメタの株は下落した一方、アルファベットは上昇しましたが、これらすべては四半期決算の発表を受けた動きです。

本日、トランプ大統領が中国の習近平国家主席と貿易における共通合意を見いだしたと発表した後、米先物は横ばいで推移しています。トランプ大統領は、中国が米国産大豆の購入を再開し、レアアース(希土類)の輸出を継続するほか、合成麻薬フェンタニルの違法取引を取り締まることを条件に、対中国製品への関税を引き下げることで合意したと述べました。