デイリーコメントー米ドルは3か月ぶりの高値、まちまちの大手ハイテク決算で米株価上昇は限定的

投稿日: 2025年10月31日19時58分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米ドルはFOMC会合でのタカ派的利下げで今週上昇へ
・ポンドと円は下落、ECBが昨日現状維持でユーロ安定
・まちまちの大手ハイテク決算で米株価下落も反発か

重要な経済イベントが続いた今週は米ドル上昇

今年最も重要な経済イベントが続いた週も終わりに近づき、本日の市場は比較的安定しています。今週は、主要中銀による金利政策決定と、また待望の世界ハイテク大手の決算報告が続き、米ドルがおそらく最も突出しています。

昨日の米ドルは、主要通貨に対して3か月ぶりの高値まで上昇した後、若干下落しました。米国債利回りは、FOMC会合決定がタカ派的利下げとなり市場を驚かせた水曜日以来、イールドカーブが上昇しています。

米インフレ加速への懸念がFRBを慎重にさせており、パニックに陥ってはいないものの、労働市場については多少懸念しています。それでも、先週発表されたかなり多くの人員削減により、FRBは12月の利下げの可能性は排除しておらず、市場は0.25%の利下げの確率を約66%と見ています。

FRBによる米経済の見通しへの慎重かつ前向きは姿勢は、トランプ大統領が今週アジア諸国と調印した一連の貿易協定によって裏付けされます。最も重要なことは、米中間でレアアース規制などの継続する課題において着地点を見つけ和解し、1年間の貿易停戦の更新を合意したことです。

東京のCPI指数上昇と口頭介入でも円は上昇できず

FRBが水曜日のFOMC会合にて12月でバランスシートの縮小を終了すると発表したものの、米国債利回りは明るい見通しから低水準から回復しました。

米ドルは円とポンドに対して最も上昇しています。財政そして金融ハト派である自民党の高市総裁が次期首相に任命されて以来、円は圧力を受け続けています。

昨日日銀は金利を据え置いたにもかかわらず、次の利上げまでそれほど長くは待たないかもしれません。本日、東京の10月のコアCPI指数が前年比2.8%と大きく予想を上回ったため、日銀の政策正常化推進にさらに圧力となっています。

しかし、東京のCPI指数によって、円が若干上昇したにすぎず、米ドルは154円台を維持しています。本日前半に、片山新財務長官が「一方的な動き」として通常の口頭介入の警告したものの、それほど大きな影響は出ていません。

ポンド続落、ユーロはECBの政策決定からサポート見つける

しかし、イギリスの財政状況への懸念とイングランド銀行による今年の利下げ観測の高まりからポンドの下落は止まらず、1.32ドルを下回っています。

イングランド銀行が今年残りの2会合のどちらかで利下げを行う場合、おそらく英CPI指数の状況を把握し、また、11月26日に発表される窮地に立たされたリーブス財務相による秋季予算案を見極めてからということで、11月の会合よりも12月の会合の方が可能性が高いでしょう。

リーブス財務相が、労働党の選挙マニフェスト公約を破って、所得税を引き上げるのではとの憶測から、財政の引き締めによって英中銀が追加利下げを行いやすくなるため、英中銀による利下げ観測が高まっています。しかし、今週明るみとなった無許可賃貸問題で、リーブス財務相の将来に新たな疑問が持ち上がっており、ポンド下落が加速しています。

昨日ECBが金利を据え置き、今後の利下げについては今のところそれほど必要はないことを強調したため、本日のユーロはポンドよりも安定しています。しかし、ユーロでさえ、米ドルに対しては今週下落に向かっています。

ハイテク大手の決算報告で下落も米株価は今週上昇か

株式市場では、日経平均株価が新最高値を更新したものの、アジア市場はまちまちとなりました。欧州株は本日赤字ですが、米株式先物は上昇しており、昨日の損失分の一部を反転させています。

マイクロソフト、メタ、エヌビディアといった大手ハイテク社の株が下落したため、S&P500とナスダック100は急落しました。マイクロソフトとメタはともに好調な業績を発表しましたが、メタは特にAIへの巨額投資継続が多額の収益に結び付くかが懸念材料となり、11.3%も株価が下落しました。

しかし、昨日の閉場後のアップルとアマゾンによる堅調な決算報告によってセンチメントが向上しており、本日は反発が見込まれています。アップルは年末商戦に大幅な収益増を見込んでおり、アマゾンの好調なクラウド事業からそれぞれの株価が時間外取引で上昇しました。

トランプ大統領が昨日の首脳会談にて、習国家主席と協議しなかったと示唆したにもかかわらず、ブラックウェル半導体の中国への販売に期待してエヌビディア株が反発すると見られています。しばらくの間、エヌビディアは韓国大手のヒョンデやサムソン、LGとの提携に忙しくなりそうです。