デイリーコメントーリスク資産は強気トレンドへの要因欠如で苦戦

投稿日: 2025年11月7日19時48分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・強弱まちまちの報道の中、米株価は方向性模索
・FRBメンバーはタカ派寄り、政府閉鎖で経済データ不足、リスクセンチメント悪化
・暗号資産にかなりの圧力、ゴールドも4,000ドル突破に苦戦
・英中銀のハト派決定もポンド上昇、今後の見通しは未だ不透明

リスク資産に圧力

株式市場にとって、10月下旬は比較的好調となり、11月はナスダック100にとっては季節的に最高の月と分析されているにも関わらず、米株価の下落が続いています。ハイテク株の多いナスダックは今週4月以来の最悪の週となり、先週の堅調な上昇分が完全に帳消しとなっています。

暗号資産市場もまた引き続き圧力を受けており、主要暗号通貨は2025年3月上旬の調整局面以来初めて、週次で2桁の損失に向かっています。今年はこれまで、ビットコインがわずか9%上昇し、イーサはほぼ横ばいとなっています。ゴールドは最近4,000ドルまで下落したものの、今年は52%上昇となっており、ビットコインもイーサもゴールドに比べて著しくアンダーパフォームとなっています。

米銀行システムの資金調達不足の問題も解消されつつある中、リスク資産が上昇できずにいることは深刻な問題を反映している可能性があります。AIへの巨額投資への正当な懸念とニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁が言及したように、世界の資本需要に及ぼす影響が他のセクターに打撃となる可能性があります。

リスク市場は強気トレンドへのきっかけを模索中

通常の環境では、本日は政府による公式の非農業部門雇用者数と他の重要な雇用統計が話題を独占していたでしょう。しかし本日は、代わりにミシガン大学消費者信頼感指数の速報値に注目することになるでしょう。

株価では、次回の上昇を見極めるために、FRBメンバーによる講演や、米政府機関の再開に向けての交渉、そして貿易関連での前向きな進展も注目となります。しかし、シカゴ連銀グルースビー総裁、クリーブランド連銀ハマック総裁、セントルイス連銀ムサレム総裁やバー理事らが今後のインフレ見通しについて懸念を示すなど、FRBメンバーの多数意見としてはタカ派寄りとなっており、グルースビー総裁にいたっては新しいインフレデータなしで金利を決定することに慎重にならざるを得ないことを強調しました。

パウエル議長も、政府公式の経済データなしで12月に利下げを決定することは非常に困難であると述べており、政府機関の閉鎖が焦点となっています。昨日の議会では、少数の共和党の上院議員が週末に合意となることに楽観的な見方を示しましたが、ジョンソン下院議長はこの予想をすぐに否定しました。

政府閉鎖が年末まで継続し、米経済とFRBによる任務遂行能力へのダメージとなる可能性も高まっています。特にトランプ大統領は、今週の主要地方選挙で共和党が惨敗した結果を政府閉鎖を理由にしていることから、連邦政府再開のために必要な打開策を打ち出すかもしれません。

一方、レアアース金属を巡る貿易協議合意にて、米中間で矛盾が生じているとの報道もあります。特に米国がエヌビディアの簡易版AI半導体の中国向け販売を阻止しているようであるため、投資家はこの矛盾が早急に解消されることを期待しています。

英中銀は今後の金利見通しで意見分かれる

イングランド銀行が昨日利下げを決定するのか、または12月まで先送りするのかについて憶測が飛び交っていましたが、金融政策委員会の投票にて5対4の賛成多数で金利を据え置きました。イギリスのインフレの見通しを巡っての議論は、タカ派がインフレの高止まりリスクに対応するために金融政策の引き締めを継続する必要性を主張する一方で、ハト派はインフレの下振れリスクをより重要視しました。

金融政策委員会の投票では、ベイリー総裁による金利据え置きへの賛成票が決め手となりました。ベイリー総裁はこれまでのハト派的見解に反して、次の行動を起こす前にさらなる証拠を待つ必要性があることを強調しました。そうは言っても、この決定は完全に経済的理由に左右されたものではないとの憶測もあります。8月の政策会合では、第1回目の投票で意見が分かれ再投票となった後利下げを決定したことを踏まえ、今回は善意としてタカ派寄りとなったとの見方もあります。

また、英中銀が今回金利据え置きを決定したものの、リーブス財務相が秋季予算案で 個人増税を発表する準備を進めている中、この決定が裏目に出る可能性もあります。したがって、市場は現在、12月の次期会合での0.25%の利下げ確率を60%として準備を進めています。

英中銀による決定がハト派となったにもかかわらず、ポンドは米ドルとユーロに対して上昇しましたが、最近のポンドの下落幅を考慮すると、この上昇は小幅と言えます。特に、ユーロ/ポンドは5月下旬より4.2%上昇しており、今月で6カ月連続の上昇となる一方で、ユーロ/ドルはこの6か月でわずか1.6%しか上昇していません。