デイリーコメントー本日の米CPI指数と主要中銀の政策決定を前にリスク資産下落

投稿日: 2025年12月18日19時40分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米株価と暗号資産に引き続き圧力、ゴールドは最高値に向かって上昇
・本日の米CPI指数に注目、英CPI指数のように下振れサプライズとなるか
・英中銀は本日利下げ発表か、市場反応は金融政策委員会の投票結果次第
・ECBは本日金利据え置きの見通し、 記者会見で市場が変動する可能性も

混乱するリスク市場

先週のFRBによる利下げと市場の初期反応で、投資家はサンタラリーが徐々に始まると確信したため、リスク資産は最高値を更新しました。しかし、先週の金曜日以来、米株価指数はナスダック100が牽引する形で着実に下落しています。

今年1年、株価の高バリュエーションが議題となってきましたが、今の段階になって、市場のセンチメントにかなり影響してきたようで、トランプ大統領が新しいFRB議長によって、来年は金融政策が大幅に緩和されると「約束」したものの、投資家はこの約束を考慮していません。

ちなみに、現在の市場の脆弱さは明日の日銀による0.25%の利上げ観測に起因し、有名なキャリートレードが脅かされると指摘する報道が数多くあります。来年3月の春闘交渉にて、賃金が上振れサプライズとなる場合、日銀が来年、現在の市場予想よりもさらに大幅に利上げを行う可能性があると見られていることから、株式市場がさらに下落するかもしれません。

特に、暗号資産は現在のリスク選好度を反映して厳しい圧力に晒されており、強気派のブレイクアウトの試みに弱気派が積極的に反応しています。ビットコインは現在8.6万ドル付近で取引されており、重要な9万ドル台を突破できずに再び脆弱のようです。当然のことながら、アルトコインもビットコインを下回るパフォーマンスで、非常に厳しい2025年の締めくくりを軟調なまま終えようをしています。

反対に、ゴールドは引き続き需要が高く、最高値付近まで上昇して、リスク資産下落から最も恩恵を受けているようです。

本日の米CPI指数に注目

火曜日に発表された米雇用統計は、政府機関の閉鎖で明らかにデータの正確さが欠如し、まちまちとなったことで、来年のFRBによる緩和政策への十分な議論材料を提供できなかったため、市場は本日の11月の米CPI指数に注目しています。

エコノミストは現在、総合CPI指数が小幅上昇となり、2.3%の低い上昇率となった4月以来の上振れトレンドを維持し、コアCPI指数は3%で横ばいとなると予想しています。この予想が現実となるか、または若干の小幅上昇サプライズとなったとしても、現在のFRB利下げ観測が変更になることはないため、米ドルには引き続き圧力となるでしょう。一方、本日の米CPI指数が、減速を示した英CPI指数のように予想を下回る場合、FRBによる次の利下げ予想が前倒しとなり、その結果ドル安となるかもしれません。

本日は英中銀とECBによる金利政策決定

本日は、イングランド銀行が2日に渡った金利政策会合の決定を発表する予定です。市場は12:00(GMT)に利下げが発表されると確信しています。本日の会合では、四半期ごとの経済予測や記者会見は予定されていないため、ベイリー総裁らが声明にて政策決定を正当化し、同時に、英中銀は着実に利下げを進行すると見られているため、今後の利下げの可能性を示唆することになります。

本日の政策決定にて、金利の据え置きを発表する確率は低いものの、金融政策委員会での投票結果の内訳が重要となり、市場に影響することになるでしょう。ベイリー総裁はハト派となると見られている中、昨日の軟調な英CPI指数を受けて、残りのタカ派委員のうち何人がハト派に転換するかどうかも疑問となります。

いまのところ、9人の金融政策委員会のうち、6人が0.25%の利下げに賛成し、3人が反対すると見られており、この投票結果では市場を動かす可能性は低いでしょう。ただし、7人が賛成する場合、来年2月初旬での追加利下げの確率が現在の20%から上昇するため、ポンドが下落する可能性があります。反対に、タカ派が現在のインフレ圧力減速を考慮しないで、5人しか利下げに賛成票を投じないような場合、ポンドがサポートされる可能性があります。英中銀による来年の利下げ観測が徐々に後退することから、ユーロ/ポンドが0.8716から0.8733のゾーンに向かって動き出す可能性もあります。

ECBは本日金利据え置き決定の見通し

イングランド銀行に比べて、本日のECBによる金利政策決定は既定路線となりそうです。ラガルド総裁らは、ユーロ圏のインフレと経済成長見通しに満足しており、ECBの四半期スタッフマクロ経済予測もこの楽観的見方を裏付けしています。通常の記者会見が投資家の注目となり得ますが、ラガルド総裁が万が一失言でもしない限り、市場への反応は最小限となるでしょう。

特に、ラガルド総裁はFRBによる今後の利下げとFRBとECBの金融政策の明白な乖離、そして、流動性問題を抱えるECBがFRBによる短期国債買い入れ計画を倣う可能性があるのかどうかについても聞かれるかもしれません。ECBによる金利政策決定は、本日13:15(GMT)に予定されており、記者会見は決定発表の30分後に行われます。