デイリーコメントーFRB議長への刑事訴訟の脅しで米ドル下落

投稿日: 2026年1月12日20時23分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・それほど悪くない米雇用統計を受けて米ドル上昇
・FRB議長が刑事訴訟の対象になり、米ドルは下落
・日本では解散総選挙の可能性示唆の報道で円安に
・株式先物下落、ゴールドは最高値更新、原油価格も上昇

米雇用統計でFRBが金利を据え置く可能性も

先週金曜日の12月雇用統計によって、FRBが今後数か月以内に追加利下げを行うほど米労働市場が減速していないことが示唆されたため、金曜日の米ドルは全ての主要通貨に対して上昇しました。

12月の非農業部門雇用者数は、下方修正された11月の5万6千件増加から5万件増加となりましたが、エコノミストらは11月の6万4千件増加から減速して6万件増加と予想していました。しかし、失業率は下方修正された4.5%から4.4%に低下し、平均時給は前年比3.6%から3.8%に加速したため、FRBが利下げを急ぐ必要はないことが示唆されました。

FRBパウエル議長が刑事訴訟の対象に

米司法省がFRBパウエル議長に対して、FRB本部の改修工事に関して刑事捜査を開始したことを受け、米政府とFRBとの間の緊張感が高まっており、本日は米ドルの圧力となっています。

パウエル議長は、こういった脅しは「口実」に過ぎず、FRBに金利を大幅に下げるようにさらに圧力をかけることが目的だと述べました。「刑事告発の脅しは、FRBが大統領の好みに従うのではなく、公益を目的にした最善の評価に基づいて金利を設定しているためである」とも述べています。

米ドルは全ての主要通貨に対して下落しているものの、FRBの今後の方針への市場観測に変化はありません。市場は引き続き12月までに合計0.53%相当の利下げを予想しており、次回の0.25%の利下げは6月に完全に織り込まれています。

市場は、この刑事告発がパウエル議長の信頼性に影響を与えるとは考えていないか、またはトランプ大統領が新議長を発表するまで慎重な姿勢を取っているのかもしれません。今のところ、米株価先物の下落とともに、米ドル下落は再びアメリカ売りとなることへの懸念を示していますが、国債利回りはまだ上昇してはいません。

高市首相が解散総選挙検討で円安に

先週金曜日に米ドルに対して最も下落した通貨は円で、ドル/円は本日のアジア取引時間に158円20銭の新年高値を更新しましたが、その後後退しました。

高市首相が、2月に解散総選挙を実施して、衆議院での与党連立の多数派を拡大する計画であるとの報道を受けて円は下落しました。70%の内閣支持率によって、高市首相は、すでに膨れ上がっている政府の債務にさらなる負担となる予算案をより自由に進めることができる選挙での勝利を確信しているのかもしれません。

これにより、利回りが上昇し、円安となるかもしれません。とはいえ、解散総選挙前でも、円には圧力となる可能性があるため、日銀の選択肢が狭くなることを意味します。したがって、最善のシナリオでは、次回の利上げは春闘賃金交渉後となるかもしれず、この交渉が満足する程度に賃金上昇となることが条件となるかもしれません。

そうは言っても、ドル/円は心理的ゾーンである160円に近づいており、財務省から再び口先介入となるかもしれず、口先介入で効果がない場合は、実際に為替介入となる可能性もあります。過去に、片山財務相は、繰り返し介入について警告しており、円安が輸入コスト上昇によって、インフレ加速となるリスクが強調されています。

トランプ大統領とパウエル議長の関係悪化で株式先物下落、ゴールド最高値更新

米株式市場の主要3指数は、金曜日にプラスで取引を終え、S&P500は新最高値を更新しました。これは、2025年の最終四半期での強い経済成長を予測した、それほど悪くなかった米雇用統計による可能性が高いですが、FRBがパニックとなって、大幅に利下げを行う必要がないとの見解にもよります。

しかし、本日の株価先物は政府とFRBとの緊張関係悪化によって赤字になっており、トランプ大統領が引き続きFRBの独立性を脅かす場合、再び米資産の売りが近いうちに起こるのではとの投資家の懸念が反映されています。

パウエル議長に対する刑事訴訟の可能性についての報道を受けて、ゴールドは強く反発し、4,600ドル台をわずかに超える新最高値を更新しました。

原油価格は金曜日に上昇幅を拡大し、本日は若干下落しています。投資家は、イランでの悪化する混乱から石油供給不足のリスクを計上しているようです。報道によると、イランでは500人以上が死亡したと言われています。

そうはいっても、ベネズエラへの制約が早くて今週にも解除される可能性があると米国が述べるなど、ベネズエラに関する報道によって、原油価格の反発は限定的となりました。